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榧の実(かやのみ)

榧の木は日本に古くからある樹木で光沢のあるきめ細かい木目は水に強く腐りにくく使い込むにつれて色が白から飴色へと移り変わり風格を増すことから木造仏に使われていたり、将棋の盤の材料としては最高級とされています。しかしその成長は極端に遅く大木に育つには300年以上もかかることから、手に入りにくく「幻の木」とも呼ばれています。

その榧の木にはオリーブに似た緑色の実がつき、その中に殻を被った種(榧の実)が入っています。榧の実は栄養素を豊富に含んでいて縄文時代から大切な食糧のひとつとされていたことがわかっています。また実からとる油も昔より食用、頭髪用、灯火用として使われていました。今では木も実の少なくなり市場に出回ることが少なくなったことから榧の実、榧油は高級品と呼ばれるようになりました。榧からとられる油は一部の高級料亭ではてんぷら用として使われているそうです。

そんな榧の木があるんですねぇ。ご先祖様に感謝しかありません。

そしてその大きな木からは沢山の実が落ちてきます。10月にもなると木の下にはネットを張ってそれを待ち構えます。葉っぱなどと一緒に落ちてきた実をブロアー(大きなドライヤーみたいな機械)で吹き飛ばして実だけを集めていきます。

そしてここからが大仕事。集めた実を一晩水につけて緑の部分を柔らかくしてから取り除きます。取り除くといってもそんな簡単なものではなく悪戦苦闘です。

次にアク抜きです。榧はあくがとても強くアク抜きには1週間ほどかかってしまいます。灰だらけです。

アク抜きが終わったらしっかりと乾かして水分をとってやるときれいな色の榧の実となります。ここまでくるときつ~い匂いもなくなっています。

食べるにはローストする必要がありますがとてもいい香りがします。榧の実はそのまま食べる以外にもクッキーにいれたりお餅に入れたり、ペーストや粉末にして使われたりもしています。榧味噌といって甘くて香ばしいお味噌もあります。また縁起物として古くからお供えなどにも使われています。

こちらはローストした榧の実。乾煎りやオーブン、殻を取り除いてからのローストとやり方は色々ですがなんとお勧めは電子レンジです。

殻ごと耐熱容器に入れて3分→かき混ぜる→2分30秒→かき混ぜる→2分→かき混ぜ余熱をとる。これで美味しくローストできます。(200gくらいの場合の目安時間です)かき混ぜる時や皮をむく時はとっても熱いのでやけどには要注意です。何とも懐かしいような素朴な香ばしい味がします。